日本介護システム株式会社で、訪問理美容師を育てる研修トレーナーをしております、東岡と申します。KamiBitoは現在、全国の介護福祉施設約4,600施設(※2026年1月時点実績:登録ベース)でご利用を頂いています。年齢やご病気、障がいなど、様々な理由から美容院へ足を運ぶことが難しい方のもとへ、理美容師がうかがってサービスをお届けしています。
在宅で介護を続けるご家族にとって、訪問サービスは欠かせない支えです。一方で、制度の情報は保険の種類ごとに分かれて説明されることが多く、全体像をつかみにくいのが実情です。その結果、利用できるサービスを知らないまま、ご家族だけで負担を抱え込んでしまうケースも見受けられます。
また、訪問サービスと聞くと、医療や介護のサービスを思い浮かべる方が多いと思います。しかし実際には、保険外のサービスも含めて、さまざまな選択肢があります。私たちが提供している訪問理美容も、その一つです。
本記事では、訪問サービスを「体」「暮らし」「こころ」の3つをそれぞれ支える役割に分けて整理します。各サービスの内容と適用される保険、費用の仕組み、上手な組み合わせ方を順に解説します。これから在宅介護を始める方はもちろん、すでにサービスを利用中で見直しを検討している方も、ぜひ参考にしてください。

制度の解説は、保険の種類から始まるのが一般的です。しかし、ご家族がまず知りたいのは「何をしてもらえるか」ではないでしょうか。そこで本記事では、次の3つの役割で分類します。
通院が難しい方の自宅を、医師が計画的・定期的に訪問するサービスです。急な体調不良時に依頼する「往診」とは区別されます。医療保険が適用されます。
看護師などが自宅を訪問し、体調の確認や服薬の管理を行います。床ずれの処置など、医療的なケアにも対応します。
要介護認定を受けている方は、原則として介護保険が適用されます。疾病の種類や医師の指示によっては、医療保険の対象となる場合もあります。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問します。トイレへの移動や着替えなど、実際の生活動作に沿った訓練ができる点が特長です。原則は介護保険ですが、条件によって医療保険が適用されます。
国家資格を持つ施術者が自宅を訪問し、マッサージや鍼灸を行います。医療保険で受けるには、医師の同意が必要です。
介護保険の支給限度額とは別に扱われるため、介護サービスと併用しやすい点がメリットです。
ホームヘルパーが自宅を訪問し、日常生活を支援します。食事・排せつ・着替えなどを介助する「身体介護」と、掃除・洗濯・買い物などを行う「生活援助」の2種類があります。
専用の浴槽を自宅に持ち込み、居室で入浴を介助するサービスです。看護職員と介護職員がチームで対応します。自宅の浴室での入浴が難しい方も、浴槽での入浴が可能になります。
介護保険のサービスは、要介護認定を受けたうえで、ケアプランに基づいて利用します。自己負担は所得に応じて1〜3割です。
介護保険には、要介護度ごとに1か月あたりの利用上限が定められています。これを「区分支給限度基準額」といいます。上限を超えた分は全額自己負担となります。サービスの追加を検討する際は、まず担当のケアマネジャーにご相談ください。
ここからは、私たちが提供している訪問理美容についてご説明します。
訪問理美容とは、理容師・美容師が自宅や施設を訪問し、カットなどを行うサービスです。理美容所以外での施術は、疾病などで来店が困難な方を対象とする場合など、法令で定められたケースに限られています。そのため、外出が難しい方の生活を支える重要なサービスと位置づけています。
身体のケアや生活支援が整っていても、ご本人の意欲が低下していることがあります。そうした場面で、身だしなみを整えることが変化のきっかけになる場合があります。現場では、次のような様子が多く見られます。
身だしなみが整うことで、写真撮影や人との面会に前向きになる方も少なくありません。医療・介護とは異なる側面から、日々の生活の質を支えるサービスだと考えています。
訪問理美容には、介護保険・医療保険のいずれも適用されません。費用は原則として全額自己負担です。
ただし、自治体によっては費用の助成や利用券の交付を行っています。対象者や内容は地域ごとに異なります。お住まいの市区町村の窓口、または地域包括支援センターにご確認ください。

訪問サービスを利用し始めると、自宅を訪れる人が一度に増えます。ご本人・ご家族の負担を抑えるため、次の3点を意識することをおすすめします。
複数のサービスを同時に開始すると、ご本人の負担が大きくなる場合があります。まず1つのサービスから始め、生活に定着してから追加するのが望ましい進め方です。
「火曜日の午前は訪問介護」のように固定すると、ご本人も予定を把握しやすくなります。カレンダーに記入し、目につく場所に掲示しておくと効果的です。
たとえば、訪問入浴の前日や当日の入浴前にカットを予定すると、入浴時に細かい髪を洗い流せます。また、体調の変化に気づいた際は、他のサービス事業者やケアマネジャーにも共有してください。関係者間で情報が共有されることで、より安全で質の高いケアにつながります。
週2回:訪問介護による掃除・買い物(介護保険)
週1回:訪問入浴(介護保険)
月2回:訪問診療(医療保険)
週2回:訪問マッサージ(医療保険)
月1回:訪問理美容(自費)
上記はあくまで一例です。必要なサービスは、身体の状態や生活状況によって異なりますので、よく検討しましょう。また一度決めた組み合わせに関しても状況の変化に応じて定期的に見直すことをおすすめします。
介護保険被保険者証および医療保険の保険証
かかりつけ医の氏名と連絡先
ご本人・ご家族の困りごとをまとめたメモ
ご本人の好みや大切にしていること
最後の項目は見落とされがちですが、ご本人の好みを事前に共有いただくことで、よりご満足いただけるその方らしいケアやサービスにつながります。

まずはお住まいの地域を担当する地域包括支援センターにご相談ください。要介護認定の申請についても支援を受けられます。すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーにご相談ください。
適用されず、費用は原則として自己負担となります。ただし、自治体によっては助成券による割引等の制度を利用できる場合がありますので、お住まいの自治体にお問合せ下さい。
ベッド上での施術に対応できるケースも多くあります。体調や姿勢に不安がある場合は、お申し込みの際にお知らせください。
対応可否はサービスや事業者によって異なりますので、利用前に確認しておくことをおすすめします。
訪問サービスの利用を検討する際は、まず地域包括支援センターやケアマネジャーにご相談ください。あわせて、髪のお手入れについては、訪問理美容のKamiBitoへお気軽にお問い合わせください。
参考・出典
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報に基づいています。制度や費用、助成の内容は変更される場合があります。実際のご利用にあたっては、自治体またはケアマネジャーにご確認ください。

執筆:東岡 忍(ひがしおか しのぶ)/ KamiBito訪問理美容研修トレーナー
現場での豊富な訪問理美容経験を経て、現在プロを育てる研修トレーナーとして活動。
中学卒業後母の勧めで美容学校を目指し、15歳で京都の美容室に住み込みで勉強。介護施設や医療機関にも勤務。子育てと両立しながら23歳で美容師資格を取得。現在は福祉と美容の知識を活かして研修講師として活動。介護福祉士実務者研修や認知症介助士も取得し、現在もそのほか資格取得に挑戦中。研修で知識や介護現場でのノウハウをより多く伝えるため、日々学び続けている。